

九谷焼 5号鉢 鳥文/山本長左
径15.5㎝×高さ6.2cm 印を見ると「九谷長左」とあります。


こちらの皿は
径14.5㎝ 印は「妙泉」です。
3つの名前の関係をざっくり言うと
妙泉陶房(みょうせんとうぼう) … 工房(つくる場所)
山本長左(やまもとちょうざ) … 作家(人の名前)
九谷長左(くたにちょうざ) … ブランド(作品名義)
この3つは別々の名前ですが、すべて兄弟が運営する同じ窯元の中でつながっています。
妙泉陶房(みょうせんとうぼう)
- 1975年に兄の山本長左(本名:山本孝)と、弟の山本篤(やまもとあつし)が設立した九谷焼の工房。
- 石川県加賀市にあり、宮内庁御用達としても知られる名窯です。
- 一つの建物の中で「成形〜焼成〜絵付け」まで全て行う、一貫制作体制。九谷焼では非常に珍しい形。
- 分業体制:
- 弟の山本篤:成形・焼成(素地づくり担当)
- 兄の山本長左:絵付・意匠(模様描き担当)
- 成形には「型打ち」という伝統技法を用い、軽く薄く精緻な器を作ります。
👉 妙泉陶房は、「つくる現場・チーム全体」の名前です。
山本長左(やまもとちょうざ)
- 本名は山本孝(やまもとたかし)。
- 妙泉陶房で絵付けとデザイン監修を担当する陶芸家。
- 「藍古九谷(あいこくたに)」と呼ばれる、藍色一色の染付(青華)を現代に蘇らせたことで有名。
- 線描が繊細で、品格のある藍の表現が特徴。
- 宮内庁や日本橋三越などに作品を納める格式高い作家です。
👉 「山本長左」は人の名前であり、芸名(作家名)です。
九谷長左(くたにちょうざ)
- 「山本長左」の名を冠した、作品ブランド(銘)。
- 妙泉陶房で制作され、兄が絵付けを行った完成品にこの銘が入ります。
- 裏印が「九谷 長左」または「長左」となっているものは、山本長左本人監修・絵付の証。
- 染付(藍一色)の器が中心で、古九谷や古伊万里の文様を取り入れた上品な作風。
- 宮内庁御用・百貨店・高級和食器店などで流通する高級ブランドです。
👉 「九谷長左」は、山本長左が作った作品のブランド名。
(=品質保証のサイン)
「九谷長左」と「妙泉」銘の違い
銘の表記 | 制作主体 | 特徴 |
---|---|---|
九谷 長左 | 山本長左(兄) | 藍九谷中心。絵付け作品。ブランド銘。宮内庁・百貨店ライン。 |
妙泉 | 妙泉陶房(弟・山本篤主導) | 成形・釉薬重視。白磁・黄磁など造形美中心の作品。工房銘。 |
👉 同じ工房(妙泉陶房)から生まれても、
「九谷長左」は兄の作家ブランド、
「妙泉」は工房としての製造銘、という使い分けです。
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妙泉陶房 ― 形の美しさを追求する工房
工房全体を支えるのが、弟の山本篤。彼は「型打ち」と呼ばれる伝統技法で、驚くほど薄く軽やかな器を作り上げます。
釉薬の表情やフォルムの均整にこだわり、黄磁や白磁、青白磁など、素材そのものの美しさを引き出すのが特徴です。
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九谷長左 ― 品格ある藍のブランド
兄・山本長左が絵付けを手がけ、妙泉陶房で完成された作品には、「九谷 長左」の銘が入ります。
これは九谷焼の中でも特に上質なブランドラインであり、百貨店や専門店で取り扱われる高級シリーズです。
「九谷長左」の器は、藍一色の染付を中心に、静かな上品さと使いやすさを兼ね備えた逸品。
湯呑や飯碗、八角皿など、和の食卓を引き立てる定番アイテムも多く、大切な方への贈り物にもふさわしい九谷焼です。

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