琉璃工房(りゅうりこうぼう) LIULI GONGFANG(リウーリー ゴンファン)とは
琉璃工房は、1987年に台湾で誕生したガラスアート工房です。
創業者は、映画界で活躍していた女優の楊恵珊(ロレッタ・ヤン)と映画監督の張毅(チャン・イー)。
二人は映画の世界からガラス工芸へと挑戦の場を移し、失われかけていたガラス鋳造技法「パート・ド・ヴェール」を復興させました。




特徴
技法:ガラス粉末を鋳型に詰めて焼成する「パート・ド・ヴェール」を用い、透明感と繊細な色彩を表現。
デザイン:牡丹をシンボルに、花や魚、東洋的なモチーフを通して「生命の価値」を表現。
一点もの:同じ型を使っても仕上がりは微妙に異なり、それぞれが唯一無二の作品となる。
展開と実績
アートオブジェからインテリア雑貨、アクセサリーまで幅広く展開。
日本の薬師寺に「薬師瑠璃光如来像」を奉納するなど、宗教芸術にも携わる。
台湾や中国をはじめ、世界各地にギャラリー・美術館を展開。
作品は国際的な美術館に収蔵され、贈答品としても高く評価されている。
魅力
琉璃工房は、アートと文化を融合させたアジアを代表するガラスブランドです。
透明感あふれる作品は、観る人に「生命の輝き」と「東洋の美」を感じさせてくれます。
Tittot(ティトット)とは
Tittot(ティトット)は、台湾のガラス工芸ブランドで、正式には「琉園股份有限公司」が展開しています。
クリスタルガラスを素材にした置物や装飾品、アクセサリーなどを手がけ、ギフトやコレクション向けに広く親しまれています。
・ 特徴
素材:クリスタルガラスを使用し、透明感と輝きを活かした工芸品を制作。
デザイン:台湾の伝統モチーフと現代的な感性を融合。
用途:美術館・博物館の収蔵品として採用されることもある、高品質なブランド。



琉璃工房との違い
同じく台湾発のガラス工芸ブランド「琉璃工房(LIULI)」と混同されることがありますが、Tittotは別法人で独自に展開しています。
LIULIが「パート・ド・ヴェール」による芸術性の高い作品で知られるのに対し、Tittotはクリスタルガラスの透明感を生かした工芸品で評価されています。
もう少し詳しく説明します。
六里(Liuli/琉璃)とは?
「六里」とは、中国古代のガラス工芸を指す言葉で、起源は紀元前11世紀のエジプトにまでさかのぼります。
中国には漢代(紀元前206年〜西暦220年)に伝わり、透明なガラスに豊かな色彩を加え、蓮、鯉、仏教的モチーフなどを表現することで、中国独自の美意識を反映してきました。
ところが、19世紀になると輸入品の流入やアヘン戦争の影響によって伝統技術は衰退してしまいます。
その後、20世紀にフランスで復活したロストワックス鋳造技法(パテ・ド・ヴェール)を通じて再び注目され、台湾では現代的なアートとして受け継がれるようになりました。
その代表が 琉璃工房(Liuli Gongfang) です。
1987年に女優・楊恵珊(ロレッタ・ヤン)と映画監督・張毅(チャン・イー)が設立し、古代の六里に着想を得て伝統技法を現代に蘇らせました。
彼らの作品は、光を透過するガラスの美しさを生かしつつ、中国的な精神性を表現することで国際的に高い評価を得ています。
現在「六里ガラス」という言葉は、歴史的な工芸技法を指すだけでなく、琉璃工房をはじめとする台湾発のアートガラスを示す言葉としても広く使われています。
Tittot(ティットット)設立
琉璃工房の成功を受け、共同創業メンバーであった ハインリッヒ・ワン は1994年に独立し、新たに Tittot を設立しました。
「Tittot」は中国語で「琉璃庭園」を意味し、ワンと弟の王永山によって中国風クリスタルガラスの新たな世界を切り開いていきます。
Tittotの作品も世界各国の美術館に収蔵されており、台湾初の「ガラス美術館」を開設するなど、ガラス芸術の新しい展開を担っています。
こうして「六里」という古代のガラス工芸は、台湾の 琉璃工房 と Tittot という二つのブランドによって現代に受け継がれ、国際的なアートシーンへと広がりを見せています。

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