九谷焼 (くたにやき)とは
テーブルの上にそっと置くだけで、ぱっと花が咲いたように華やぐ。
そんなうつわが、石川県・加賀で生まれた九谷焼です。
九谷焼といえば、赤・黄・緑・紫・紺青の「九谷五彩(ごさい)」。
この独特の色づかいが織りなす絵柄は、まるで一枚の絵画のよう。
日常のなかに“飾るように使う楽しみ”をくれる器です。
九谷焼のはじまり
その歴史は約370年前、江戸時代の加賀藩にさかのぼります。
藩主・前田利治が磁器づくりの技術を学ばせたのが九谷焼のはじまり。
やがて「古九谷(こくたに)」と呼ばれる華やかな様式が生まれました。
一度は途絶えたものの、明治期に再興され、
海外でも「Japan Kutani」の名で知られるようになりました。
その美しさは、今も世界中のファンを魅了しています。
九谷焼の魅力 ― 絵画のような上絵付
九谷焼の特徴は、なんといっても上絵付(うわえつけ)。
一度焼いた磁器に絵の具で文様を描き、再び焼き付けることで、
透明感のある艶と深みのある色が生まれます。
光の角度によってきらめく五彩の色、
花や鳥、風景がやさしく浮かび上がるその表情は、まるでアート。
使うたびに少し背筋が伸びるような、特別な気分をくれます。
九谷焼を彩る、6つの個性
九谷焼の世界には、時代ごとに個性豊かな作風があります。
江戸後期から明治にかけて生まれた「再興九谷」では、6つの代表的なスタイルが生まれました。
- 古九谷(こくたに):五彩を駆使し、山水や花鳥を大胆に描く力強いスタイル。
- 木米(もくべい):赤地に中国風の人物をユーモラスに描く、明るい京風の作風。
- 吉田屋(よしだや):赤を使わず、青や黄、紫で器全体を埋める重厚な“青手”が特徴。
- 飯田屋(いいだや):極細の赤絵と金彩で描かれる繊細な美。九谷赤絵の原点。
- 永楽(えいらく)/金襴手(きんらんで):赤地に金をあしらった豪華絢爛なスタイル。
- 庄三(しょうざ):さまざまな技法を融合し、洋絵具も取り入れた色鮮やかな作風。
また、粒状の絵の具をドットのように盛り上げて描く「青粒(あおちぶ)」も人気。
繊細でオリエンタルな雰囲気が漂い、今のインテリアにもよくなじみます。
贈り物にしたくなる理由
九谷焼は、「飾るように使える器」。
華やかでありながら、食卓にしっとりと馴染む上品さがあります。
結婚祝いや新築祝い、退職祝いなど、人生の節目に贈るギフトとしても人気。
ペアの湯呑みや豆皿、マグカップなど、使うたびに思い出がよみがえるような品も多く、
贈る人のセンスをさりげなく伝えてくれます。
「今日はどのお皿にしよう?」
そんな小さな選択が、毎日の暮らしを少し特別にしてくれる――
九谷焼には、そんな魔法があります。
いまの九谷焼
いまの九谷焼は、伝統の色絵に現代的なデザインを掛け合わせた新しいスタイルへ。
北欧インテリアにも合うような柔らかな色合いや、
シンプルな絵付けの作品も増えています。
古き良き手仕事と、今の暮らしが自然に溶け合う。
それが、いま私たちの手元にある九谷焼の魅力です。
毎日の食卓に小さなアートを。
九谷焼は、“贈る人にも、贈られる人にも心が残る”日本のうつわです。
九谷焼 米田寿光(よねだ じゅこう)

九谷 米田寿光 色絵花鳥文 銘々皿 φ16.5㎝






九谷焼 茶器揃


九谷焼 小鉢





九谷焼 銘々皿



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